ごあいさつ
令和7年度 全国保健師長会会長 前田香
日頃から全国保健師長会の活動に御協力をいただき厚くお礼申し上げます。
行政保健師の保健活動は、平成25年4月に策定された「保健師活動指針」を踏まえ実施しておりますが、人口構造や社会環境が変化する中、2040年を見据えた保健師活動の体制構築に向けた指針見直しの検討が昨年12月から始まり、令和7年度中の見直しが予定されております。
令和6年度の地域保健総合推進事業として、政令指定都市・中核市・特別区部会が中心となり実施した「2040年を見据えた令和における保健師の地区活動の推進に関する調査研究事業」では、「令和の保健師の地区活動のあり方」が明らかとなり、現行の保健師活動指針の有効性が示されております。保健師は日々の保健活動を通じて、地域(住民)の健康課題を把握し、あるべき姿を描き、多様な主体と共に改善に向けた取組を実施するとともに、協働でモニタリングし、目標の再設定を行うというPDCAサイクルを回していることが確認できました。また、本事業では、「2040年を見据えた地区活動として語られた保健師の技」も明らかにしており、これらを次世代に引き継げるよう、昨年12月に実施した保健師活動指針の改正等に関する会員の意識調査の結果と合わせ、具申していきたいと考えております。
人口減少社会においては、保健分野のみならず、医療・介護従事者の確保もさらに厳しくなることが見込まれており、これらも踏まえ、昨年12月には「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」が公表されました。本とりまとめにおいては、地域完結型の医療・介護提供体制を構築するという基本的な考え方が示されており、地域のケアシステム構築の役割を担っている保健師は、医療と介護の状況にも目を向け、関係機関や多職種と連携・協働しながら地域づくりを展開していく必要があります。また、これらを展開するためには、新任期から管理期まで切れ目のない体系的な現任教育や統括保健師の育成及びサポート体制の構築等のほか、将来を見据えた戦略的な保健師確保の取組も不可欠です。
今年度、全国保健師長会では、活動方針のテーマを「未来を見据えた公衆衛生看護活動の展開」とし、副題を「予防活動を実践、そして地域に根づく保健師活動の継承」といたしました。会員の皆さまと共に、時代の要請に応える保健師活動を追求し、保健師の未来を見据えた効果的な保健師の人材育成とそれを支える体制の強化、地域に責任を持ち健康格差の解消を目指した保健師活動の推進などを図ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
副会長 岡本理恵
このたび、副会長に就任いたしました、名古屋市の岡本理恵と申します。
令和6年能登半島地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。また、被災地域で支援活動に尽力する会員、保健師の皆さまに心から敬意を表します。
改めて、保健師が果たすべき役割の重要性と、地域社会においての存在価値が一層浮き彫りになったと感じています。
昨年は、新型コロナウイルス感染症が5類へと移行され、新型コロナウイルス感染症との共存に向けて新たなフェーズを迎えた一年でした。
国においては、新興・再興感染症等の健康危機発生時に備え、保健・医療提供体制が確保されるよう関連法令の改正が行われ、あわせて地域保健法に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」には、統括保健師等の総合的なマネジメントを担う保健師を配置することが明記されました。これにより、各自治体での統括保健師の配置の促進及び役割発揮が一層求められています。
また、今年度からは、新たな国民健康づくり運動である「健康日本21(第三次)」が始まります。この新しい施策は、社会環境の質の向上を基盤として、その上で個人の行動と健康状態の改善を通して、最終的に健康寿命の延伸と健康格差の縮小を獲得していこうとするもので、「誰一人取り残さない」健康づくりの観点が示されています。まさに、行政で働く保健師が中心となり、関係職種が連携し多種多様なネットワークを構築し、地域住民・関係機関を巻き込んだ健康づくり施策を展開していくときだと感じています。
コロナ禍を経て、保健師活動にも日常が戻ってきました。この間の経験を踏まえて、従来のやり方に固執するのではなく、新しい視点や気づきを取り入れながら、地域住民の健康と安心を守るための保健師活動を展開していくためには、保健師の人材確保はもちろんですが、人材の定着と効果的な人材育成が不可欠だと考えます。
全国の仲間が様々な知見や経験を共有し、ともに学びあう機会を増やしていくことで、全国の保健師が連携し、より強固なネットワークを築いていくことができたらと考えています。全国の保健師がこれからも誇りと自信をもって生き生きと活動できるよう、副会長として微力ながら精一杯努力してまいります。
会員の皆さまのご指導、ご協力をいただきますようどうぞよろしくお願いいたします。
副会長 井ヶ田輝美
この度、副会長に就任いたしました、埼玉県の井ヶ田輝美と申します。
これまで会員として活動に参加して参りましたが、今後は役員として会を運営していく立場となりました。今までとは異なった視点で「全国保健師長会」を考える機会をいただいたことに感謝すると共に、微力ではありますが、会の発展に貢献できますよう精励していく所存です。
さて、昨今の保健師を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症への対応や災害対応など、刻々と変化しています。そのような状況下において、保健師の役割や働き方は大きく変化し、新たな課題も生まれてきています。また、保健師の人材確保と育成については、全国的にも喫緊の課題と認識しております。
埼玉県においては、令和6年4月より県統括保健師を補佐し、保健所での健康危機に対応する役割として、各保健所に「地域統括保健師」が配置され、私もその役割を担うこととなりました。
保健所と市町村の役割が明確化され、保健師の分散配置が進む中、私の勤務する県保健所においては、直接的業務で市の保健師と顔を合わせる機会が少ない現状があります。しかし、災害対応や健康危機対応を効果的に進めるためには、市町村と保健所の保健師が日頃から顔の見える関係性を構築し、相互に役割を認識した協働が不可欠であると感じます。地域統括保健師として、自治体の枠を超えた連携や協働体制の構築について日々意識しながら、取り組みを模索しているところです。
全国保健師長会での活動を通じて、それらの課題の解決に向け、皆様と共に新たな保健師活動が創造して行けるよう尽力して参りたいと思います。
会員の皆様のご指導、ご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
副会長 菅原奈保子
この度、副会長に就任致しました、岩手県北上市の菅原奈保子と申します。
この全国保健師長会は、令和7年度の活動テーマを「未来を見据えた公衆衛生看護活動の展開~予防活動の実践、そして地域に根づく保健活動の継承~」として、全国レベルでの活動の情報収集と提供、資質向上、調査研究、災害支援などの事業に取り組み、国への提言などを行っており、会員の皆様のよりよい活動に寄与できるよう努めて参りたいと思います。
さて、2024年から2035年までの期間で健康日本21第三次計画が始まりました。主な目標として健康寿命の延伸、健康格差の縮小、生活習慣の改善、社会環境の整備が挙げられ、取り組みがなされているところです。地域の健康課題はそれぞれですが、2040年を見据えた戦略的な保健活動が求められています。
また、令和4年に改正された児童福祉法等により、令和6年4月から市町村は「こども家庭センター」の設置に努めなければならないこととされており、令和6年5月時点で50.3%が設置されています。「こども家庭センター」は、母子保健と児童福祉の両分野の一体的な運営を行うことにより、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもに対し、出産前から子育て期にかかる切れ目ない支援を行うとともに、支援を要するこども・妊産婦等へのサポートプランの作成、地域資源の開拓などを担うこととされております。統括支援員として配置され資格者は保健師が七割を占めており、母子保健と児童福祉の両部門にまたがるマネジメントも求められております。
様々な場面で保健師が求められていることを念頭に、この会が学ぶ機会やネットワーク構築の場となるよう微力ながら尽力して参りたいと思います。会員の皆様のご指導をどうぞよろしくお願いいたします。
全国保健師長会事務局
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